タイムマシン(第四章)タイムマシン(最終章)

2009年01月27日

タイムマシン(第五章)


タイムマシン(第五章)


 小学生時代・中学生時代は一緒だったが、高校・大学では別々の道を歩んだ友人にT正がいる。

 彼とは中学時代の3年間、同じクラスで、同じ部活(バドミントン)だったこともあり、それ以来無二の親友として、社会人になってからもよく会っていた。

 多分、兄弟以上に兄弟のような仲だったと思っている。

 しかし、20代半ばに突然僕に、

「来週、イギリスに行くことになった。」

と告げ、心の準備もできていない僕の前から消えてしまった。

 それでも僕らの友好は続いていた。

 彼が日本にいる間は、お互いに人生につまづいたときにはお互いを励まし合い、喜びも分かち合ってきたのに、今は分かち合える距離ではない遠い国で生活をしている。

 2、3年前に一度帰国したことがあり、僕らの再会も久しぶりだった。

 送られてきた同窓会名簿のT正の住所欄にはロンドン在住としてか記されていない。

 多分、僕以外は彼の住所を知っている人はいないのだろう。

 Y子もきっとT正に同窓会の写真を送ってやりたいと思っているに違いない。

 お礼の手紙と共にT正のロンドンの住所も教え、同じ小冊子や写真を送ってもらうようお願いするとしよう。



 この同窓会に参加した面々は半数以上。

 しかし、半数近くは参加していない。

 そのひとつはやはり北海道を出て遠方に住んでいる人間たちで中には大阪や愛知に住んでいる者もいた。

 ちょっと驚いたのは東京の新宿世田谷に住んでいる人もいて、僕の勤務地に近い人もいたこと。

 こんな近くに住んでいるのに・・・。

 多くの人は小樽(故郷)や隣の札幌余市など道央に住んでいるようだが、やはり育った小さな町の住所にいる者は少なかった。







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【空を見上げて】







 僕が愕然としてしまったのは住所欄が未記入の者よりも逝去と書かれていたS子T彦だった。

 その欄に書かれていた逝去の文字が重くのしかかり、胸が苦しくなった。

 実はS子については、たまたまイギリスから故郷に帰っていたT正からの情報で、

「癌で亡くなったそうだよ。」

と聞いていたのだが、T彦については全くわかっていない。

 あいつとは小学生の頃によく遊んだ仲。

 もともと茶色いサラサラした髪の毛をしていて、お父さんが神主だったこともあり、彼も神主を引き継いだとまでは聞いていたのだが。

 神主になったのはいいが、そんなに早く神様のもとに行かなくたっていいのに・・・。

 いつ、どうして亡くなったのかはわからない。



 小さかった頃、誰が今を想像しただろう。

 誰もが大人になって、みんな立派に社会に貢献して生き抜いていくと思っていたのに。

 これから名簿を作るたびに空白の欄ができ、いや・・・逝去という重い文字がのしかかり、そのたびに心の中の灯火がひとつ消え・・・心が痛くなるんだろうな。



 もし、タイムマシンがあったら・・・。

 あの頃に戻って、過去に遣り残したことをもう一度・・・。

 いや、そんなことはできないのだから・・・、だから命は粗末にしたくない

 S子だって、T彦だって、そんな思いでこの世を去ったわけではないから・・・。

 住所欄を眺めながら、やっぱり仲間に会いたい気持ちが強くなってくる。

 逝去の欄が増える前に・・・。

 今の自分の言葉で言いたいことはしっかり言わなきゃ







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at 23:09│Comments(0) 「青春」編 

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